砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない


砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない (富士見ミステリー文庫)

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない (富士見ミステリー文庫)


GOSICKの桜庭一樹さんの作品。ゴシックを読んでいた時にも思ったけど、

この人は舞台設定を生かすのが上手い。主人公は現実感の無い戯言を砂糖菓子の弾丸と呼び、

現実の世界で生きていくための手段や言葉を実弾と呼んでいるのだけれど、

舞台が自衛隊駐屯地の近くの上、主人公のなぎさが自衛官になろうとしていたのだから

まさに実弾をもって実弾を撃つというか…。海野藻屑が自分を人魚と言い張るのにも

海辺の町だから読者に本当にそうかもしれない、という希望を抱かせたりもできる。

意味もなく舞台設定をしているのではなくて、必要だからその場所を選び、綿密に調査をしており、

それが作品にテーマと重みを与えている。何かといえば剣と魔法に逃げる昨今のラノベ作家の皆様

には見習って欲しい所でもあります。




ラストで藻屑の父親が例の質問に答えた所は鳥肌立った。ラストは予測されていたもの

ではあったけれども、主人公のなぎさに共感できていたので十分すぎるほどの喪失感と

退廃感を味わえました。



どうでもいいけど砂糖菓子って英語でロリポップって言うんですねえ、初めて知った。