ちーちゃんは悠久の向こう


読了。ジャンルに分ければセカイ系、という分野に入るのかな。


僕(主人公)と君(ヒロイン)の存在が世界の全てを形作っていく
エヴァンゲリオン系統の作品。
通常の社会における

自分  社会   世界

のうち、社会をとばして自分と世界が直結している世界観の作品。
(管理人の認識なので、正確な意味はははてなキーワードWikipediaで見てください)



でも、違うのは世界は世界そのものではなく、自分と彼女をとりまくごく一部の
閉ざされた世界が変質しただけにすぎないという事。
エヴァのように全世界が崩壊したりはしない。
崩壊し、変質するのは自分と彼女(ちーちゃん)の世界だけ。



世界のとらえ方には2通りあって、物質的にたんに世界中、という意の世界と、
自分を含めた限られた人間関係と環境のみを指す世界
(これはここ以降(セカイ)と呼びます)。



セカイはあくまで限られた世界であって、
その存在が世界におよぼす影響はないに等しい。
そして、ちょっとした変化ですぐに崩壊する脆いもの。
この作品は、主人公とその友達で作られた
セカイが崩壊していく様子を描きながら、
その崩壊をまったく認知せず淡々と過ぎていく世界の現実
を描いています。



ライトノベルとは違い、挿絵も一切なし。純文学の雰囲気です。
DVなどの重いテーマを扱って
いるので、読んでいて楽しくなれるとかそういうことは全くありません
が、読みおわって必ず何かが心に残ります。
特に漫画や小説が好きな人は共感できる部分が多いでしょう。
ちょっとしたことですぐに壊れてしまう脆い日常のリアルを感じられる作品です。


ちーちゃんは悠久の向こう (新風舎文庫)

ちーちゃんは悠久の向こう (新風舎文庫)