コミックブレイド3月号part2

  • ARIA Navigation51「クローバー」


「しっかりしていること 頑張る事 それは天から与えられた才能じゃないんだけどな」〜藍華


この言葉は、アリスと灯里が晃さんに向けた言葉への藍華の感想みたいになってるけど、間接的に自分にも
投射してると思う。友達作りの天才の灯里と、天性の操舵術を持つアリス。それに対して才能、と呼べる
ものが無い、と少なくとも自分では思っている藍華


晃さんに「悔しかったかどうか」を聞いてしまったのも、「晃さんだけ昇進が遅かった」という事実を
自分に重ね合わせてしまったからじゃないかな、と読んでて思いました。もちろん晃さんへの思いも
あったと思うけど。残酷な未来に対する処方箋みたいな物が欲しかったのかな。まあ実際はアリスは
シングルだし、藍華がいちばん遅いという事は考えられないけどね。藍華も晃さんも、天才じゃなくて
秀才タイプで、まわりの二人は特殊な才能を持っている。藍華は知らず知らずのうちにそれに対する
嫉妬心みたいなものを生んでしまったのかもしれないですね。アリスちゃんと灯里がプリマに昇格して、
自分だけシングルだったら、自分はそれに耐えられるのか。そんな疑問に対する答えを求めていたのか
と思う。


それに対する晃さんの答えは、努力する事を才能にしてしまえばいい、という事。冒頭の藍華の言葉を
ひっくり返してしまった形ですね。努力できる力も才能だよ、っていうのは同じような悩みを持っている藍華への
メッセージでもあるような気もしますね。で、晃さんがそのきっかけを得たのが幼少時代の藍華から、
っていうのもちょっとびっくりした。子供の藍華から教わった事を、今度はまた大人になった藍華
教え返してる訳ですね。大人になるにつれて藍華が忘れてしまった感情だったのか、はたまた子供の
無邪気な心が偶然生み出したものだったのだろうか。


でも、晃さんがちょっと迷ってたというか、苦しんでたその時期って、アリシアさんやアテナさんも口には出さなく
ても同じような悩みをかかえていたような気がする、というかそうであってほしいなあ、と思う。
きっと、というかたぶん、晃さんが昇格してみんなプリマになった時、みんな泣いたんじゃないかなあ、と。
二人がお祝いを言って、晃さんが最初に決壊しちゃって、アリシアさんが続いて、アテナさんがなんとなく
もらい泣きしてしまって…、みんなで良かったねー、って言い合って(;つД`)


晃さんのこういう強さとか、藍華が抱いてしまったような感情っていうのは、基本的に幸せを描くARIAの世界から
はちょっと異質な要素なんですよね。でも、決して繋がっていない訳じゃない、と。晃さんもアリシアさんも、
それなりにこういうキツイ状況を超えてきたはずで、それが何者に対してもゆるがないプリマの強さに繋がっている
はず。アリシアさんが言っていたように、幸せって、自分の心一つだから。理想郷で生きていても、辛い事
はたくさんあるはず。それを乗り越えて、幸せを得るためには、晃さんのような強さが必要である、と。