鉄より堅い「腐れ縁」〜銀魂104話「大切なものは見えにくい」感想

動乱編4話目、感想です


ね。内容的には164訓「線路で遊んじゃいけません」から、166訓「大切なものは見えにくい」まで。長編のほうで必ず作画監督に名を連ねる佐藤陽子さんの担当した回。うごくシーン自体は多かったけど、一対一の斬り合いとかの場面は銀さんと万斎の場面ぐらいで、後は列車やらヘリやら機械系のアクションが多かったのでちょっとそのあたりは物足りなくも思えたりもしましたが、定評のある人物の描写、感情表現はもちろん、糸をちぎろうとして血が吹き出るシーンの「痛さ」の表現とか、
ヘリから銃で撃つ側の視点の時に、ヘリの上下動に合わせて画面を揺らしたりとか、
冒頭のキラリと光る剣の描写、そしてなにより銀さんと万斎の斬り合いのシーン。剣筋に合わせて空気が振動するのを視覚的にアニメで表現するのってなかなか珍しい表現だと思うんですよね、そこが面白かった。もちろん流れるようなアクションも良かった。原作より神楽の見せ場が増えてるのも神楽大好きっぽい佐藤さんの回ならではだと思いました。

後印象に残ったのは、最後機関銃に撃たれた伊東が血を吐きながら崩れ落ちるシーン。生気なく崩れるように倒れるシーンはものすごく「死」を連想させて一番鳥肌が立った。また夕方に〜とか批判が来そうだけど、「死」とか「痛み」というのを表現する事は、むしろそういう残酷な事から子供含めて見る側を遠ざける効果もあると思うんです。難しいだろうけど、個人的には一概にこういう表現を夕方にやる事は「駄目」とは言えないんじゃないかな、と思う。だからあえてリアルさを追求した事には、個人的には賞賛したいと思う。

途中の回想シーンに入るもみじの透かしとか面白かったしねえ。何故紅葉(だと思う)なのかはよくわからなかったのでちょっと調べてみたけど、
おそらくモデルとなった伊東甲子太郎の歌集(選集)「残しおく言の葉草」という歌集の中にある
「霧包む大みね山のもみち葉もあらしやけふの敵なるらん」
なのか、もしくは伊東一派が屯所とした高台寺が紅葉の名所だからなのか…よくわからんかった。あんまり詳しくないからわからないけど、伊東と紅葉って特別な関連があるのだろうか。

  • 演技的に見て

雑感になるけど、自分が見てるアニメってほとんど男女比1:9みたいなのしか見てないので、あんまり男性声優同士のガチのぶつかり合いとかを見る機会は少なかったりとかします。なので、銀魂のように男性声優多目で、しかもベテランの競演のようなのを見るのは新鮮です。千葉さんに真殿さん、山崎さんとかベテランのぶつかり合いは迫力があって良かった。キャリアのある人はやっぱり演技にもそういうのが出てくるよな。



  • 全体的に見て

最後に銀さんが万斎ごろヘリにつっこむ所、どんどん目にむけて引きが迫っていく所の演出は良かった。
高杉と近藤さんというまあ敵味方のボス同士が今回出てくるけど、対照的だなと思った。人間分析に長けて、目的のために部下を切り捨てる事も厭わない高杉と、裏切られてもまだ対等な仲間として救おうとする近藤さん、と。「駒」としか見ない高杉のほうが先に伊東の事を理解していた事によって起こった事件。今回よりもっと早いうちに伊東が近藤さんの大将としての器を見れていれば、ほしかったものが既に手元にあった事に気付いていれば、避けられた戦いであった、と。それが表題の「大切なものは見えにくい」に繋がっていく訳だよなあ。一番大事なものは、「どこか知らない所」でなくて、いつもすぐそばにあるという事、「青い鳥」の理論ですね。




次回「何事もノリとタイミング」
でこの長編も終わりか。さて、次は何をやるのかな?


追記:アニてれの公式で釘宮さんのインタビュー掲載中くぎゅうううう

  • 神楽役の釘宮理恵さんにFAXインタビューをしました。

http://www.tv-tokyo.co.jp/contents/gintama/special.html