夢見る頃を過ぎても

その昔、アニメだいすき!というTV番組がありましてですね・・・夏休みとか春休み期間の夕方ぐらいに、2時間ぐらい枠とってマニアックなOVAみたいなのを流す番組だったんですが。当時年に数回しかないのにもかかわらずすごい楽しみにしてたなあ、という記憶があります。今だったらレンタルビデオ店とかCSに入ればそんなの見放題な訳ですが、当時はまあそんな事もできなかったのでねえ。風魔の小太郎やら、なんか日本の伝記物っぽいホラーやら、プロジェクトA子みたいな大きなお友達向けやら、今思えば夕方にやるような内容じゃねえなとか思う。その伝記物とか、ラストで主人公の腕がもげて終わるとかけっこうグロかったり、締めで唐突になんか初登場のおじいちゃんが出てきて「〜を倒せるのは、〜だけじゃ!」とか延々と講釈をたれて帰っていってエンドといういかにも続き物っぽい投げっぱなしジャーマンな終わり方だったわけです。今だったらネットの評論家の皆さんから「意味ワカラン」とか「消化不良この上無い」「完全な失敗作」と袋叩きにされる事必至でしょう。


で、放送が終わってからその作品の評論の文章みたいなのがテロップで出てくるんですが、その伝記物っぽい作品が終わったあとの評論の中に「謎ばかりが残る結果となってしまい、残念」とかいう文章があったのを今でも鮮烈に覚えています。今思えば的確すぎる意見だ。本当にそういうアニメが好きな人が作った枠だったんだろうな、と思う。残念ながら消滅してしまい、その夏休みからは途方に暮れる、まではいかないまでも非常に残念な気分でした。


で、そこで放送された中にあったのが、「湘南爆走族」。当時は確かもう連載が終わっていた作品だったみたいですが、OVAで作られてたようでした。それはシリーズ数回放送されてて、当時けっこう気に入ってたので試しに原作本を買ってみて、そこから吉田聡にはまるというちょっとした逆流現象を起こしてました。俳優の江口洋介が、その作品の主役を演じた事からその芸名をつけたのだ、とかそういう知識も後から知った事。


その流れで、続編の「荒くれKNIGHT」というアニメを昨日レンタルしてみて見たのです。さすがに昔見た湘南爆走族のアニメほど気に入りはしなかったけど、作品としてはなかなかの出来栄えではなかったかと思います。キャスト陣としては主役が置鮎さんでヒロインがゆかなさんだったり、後輩役で石田さんとか主人公格に中井さん、速水さんとか今にしてみれば大御所クラスばっかりだ。まあ10年以上前の作品なので、まだ若手だった人もいるでしょうが。今ではすげえ!とか思うようなキャストでも、当時はそれほどでもない可能性もある訳だ。そのアタリも面白いかも。そういう入れ替わりというか、系譜のようなものをいろいろ調べてみるのも面白いかもねえ、人気声優、その系譜とか。いつしか、今現在若手で活躍している人が、大御所として指導にあたったり、アニメから遠ざかってナレーションや報道に行く、あるいは引退してしまう。そういった未来も、きっと来るはずなんだろう。昔のアニメのファンも、きっとそういう経験をしてきているはずなんです。俺らはまだそういう経験をあまりしていないのですが、そういう歴史の移り変わりを見ていくのが、今後楽しみでもあります。


で、つつがなく見終わった後、主題歌がちょっと気に入ったので調べてみたのです。ヒルビリー・バップス「夢見る頃を過ぎても」。80年代のロカビリーバンドだそうだ。よくある作品のために作られた期間限定バンドみたいなもんかな?と思って調べてみた所、活動していた頃はかなり人気のあるバンドだったそうで・・。昔を振り返る特集ー、等というものがTV等で行われてもおそらくあまり取り扱われる事がないような存在なのだったのでしょう。自分も、今日たまたま荒くれKNIGHTを見なかったら一生知る事は無かったであろうと推測されます。でも、ふとした事からその存在に触れる事が出来た。アニメを介してという、あまり人にはいい辛い接触の仕方ではありましたがねwww。


そういう、自分が全く興味がなかったり、接点が無かったりする物に触れる事、知る事には、何かしらのきっかけは絶対必要なはずなのです。アニメで例えるならば、「〜さん(声優)が出ているからこの作品を見ました」とか、〜監督作品だから、とかもそんな感じなのだろう。声優を介してとか、一般的に見たらうわっ何この人wwwとか思われそうな気もするにはするんですが、それがきっかけでよい作品を知る事が出来たなら、それはきっと良い事なのではないかと思うのです。きっかけは何であれ、「〜さん」がその作品に出ていなかったら、その人はその良い作品に一生触れる事は無かったのだから。作品を知るきっかけに純粋も不純も無いと、俺は思います。不純だと思うのなら、人に言わなければいいだけの事。本来オタクってのは内にこもりがちな存在なのだから・・・まあそういう人に言いにくい事を大っぴらに言い合えるようなクローズドなパラダイスも、探せばドッかにあるのかもしれませんがね。